カレル・チャペック
千野栄一 訳
2003 岩波書店
感想としてはよかった。原題は「ロッサム万能ロボット会社」。ロボットという言葉がスラヴ語系にあり、「強制労働者」を意味し、RURがロシア革命やその余波の影響を受けて書かれたのは明白だ。「同志」(Comrade)という言葉やロボットを代表する「中央委員会」も諷刺がきいている。ロボットを人類の工作によって民族間や内ゲバで争わせてロボットの連邦の一枚岩を瓦解させようと登場人物が言うところも聖書やロシアの情勢を思い起こす。そしてことの原因とされているのもチャペックが嫌った唯物論の権化、作中で「根っからの唯物論者」とされているロッサム老人だった。チャペック自身が述べているようにこれは社会主義小説ともとらえらるのも必ずしも間違っていないが、1924年には「私はなぜ共産主義者じゃないか」(Why I am not a Communist)とか書いてちゃんとマルクス主義者じゃないことを力説しているんだからどれだけ疑われいたかわかるだろう。