2008年8月26日火曜日

全体主義について

「全体主義」、この言葉を最初に使ったのはジョヴァンニ・アメンドラ(イタリア共産党幹部の父親)である。これを気に入って採用したのがかのジェンティーレだったらしい。元々所謂「ファシスト」はロシア革命に後押しされたイタリアのサンディカリズムの端くれだったが、既成階級の肩入れとサンディカリズムと無縁の元マルクス主義者のネオへーゲリアン、ジェンティーレがイデオローグになったことで国家主義者に変わった。アーレントが時系列的に研究したことは正しい。マルクス・レーニン主義が「階級の全体主義」だとすればファシズムは「民族の全体主義」である(社会主義もその言い替え)。イスラエルの学者Zeev Sternhellジーヴ・スターンへルによるとファシズムはマルクス主義の修正、変種である。しかし、全体か個体か(あるいは個人か部分か)というのも不毛な議論だ。これらは一つである。プラトンの弟子アリストテレスは全体は部分の総和では無いと言ったが、マルクスの考えは弁証法的唯物論に見られるように方法論的個人主義と全体論を止揚した側面がある。マルクスも「全体」と「個体」の両立主義者である。