シオン長老の議定書。これほど陰謀論をメジャーにさせた書は珍しい。
この書の「家畜化」(ゴイム自体は人間をあらわすのだが、タルムードであると「獣」とされている)のコンセプトはポストモダンで盛んに言われる「動物化」を思い浮かべる。 元々コジェーヴがアメリカは共産主義の段階に到達しつつあり、人間が動物と化すとしたのが始まりである。コジェーヴの申し子で有名であるのがポストモダニストとフランシス・フクヤマといったネオコンである。 ハイデッガー、ユンガー、シュミットといった右翼がコミュニズムやボリシェヴィズム、プロレタリア独裁を評価したり、ブレヒト、キルヒハイマー、ベンヤミン(唯物論的ホッブズ主義者)といったユダヤ人や左翼と交流したのも偶然では無い。
彼らが目指したのが世界の人間牧場化、動物農場化である。つまり、「新世界秩序」New World Order、「ワンワールド」One Worldである。このNew OrderはグラムシのOrdine Nuovo「新秩序派」に始まる(さらに共産党宣言のold social orderを受けたレーニンのNew Social Orderまで遡るらしいが)。これがファシストに利用されたという。世界のヘゲモニーhegemonyを握るのが目的である。One WorldはスターリンのOne Conturyである。書で「仕掛けた」としているのがマルクス、ダーウィン、ニーチェ(「力」も「畜群」も「断乎とした意思」もタルムードのコピーと言えよう、逆にショーペンハウアーは同感や同苦を説いた)。これにフロイトを加えればポストモダンのバックボーンである。ブッシュ政権もレーガン政権もポストモダンであった。レーガン政権のブレーンにもカークパトリックを始めリオタールよろしく元トロツキストや元マルキストが多くいた。スターウォーズ計画は元スターリニストのアメリカの某陰謀論者が自分が発案したと言っているが、ランド研究所のウォルステッターという元トロツキストの影響があったと公式にはされている。陰謀論では小ブッシュ政権はコミュニスト被れのネオコンとファシスト被れのブッシュらが手を組んだ最悪の独裁政権であるとされ、閣僚にもトロツキーの研究で卒論を書いた人間がいたといわれる。万国の自由戦士よ、団結せよ!Freedom fighter of the all countries, unite!すべての権力をアメリカへ!All power to the America!であったわけである。ゲバラは「革命家は・・・・・冷酷な殺人マシンcold-blooded killing machineとならなければならない」 と言ったが、思考機械、ノマド的殺戮機械としての「レーニン」は止まないのであろう。湾岸戦争と同時多発テロは等価である。ランボーの怒りのアフガンはアメリカ帝国の序章であった(ネグリとハートの帝国は国務省に愛読されたという)、ブッシュは予定通りソ連のブレジネフドクトリン、制限主権論、アフガン侵攻計画を継いだのである。そしてアムネスティが現代のグーラーグとしたキューバのグアンタナモ、アブグレイブで20世紀の悲劇は「茶番」として蘇った。