2008年2月5日火曜日

ヴァリス

フィリップ・K・ディック
大滝啓裕 訳
1990 東京創元社
またあの数字だ。Ken MacLeodの馬鹿馬鹿しさに匹敵する。気になるのは冒頭の「大ソビエト事典第6版」のヴァリスの説明。

巨大にして能動的な生ける情報システム。アメリカの映画より。自動的な自己追跡をする負のエントロピーの渦動が形成され、みずからの環境を漸進的に情報の配置に包摂かつ編入する傾向をもつ、現実場における摂動。擬似意識、目的、知性、成長、環動的首尾一貫性を特徴とする

やっぱり大ソビエト事典だからマルクス主義的悪文。小説も批評もトンデモだが、まだ理解しきれてない部分があるので結論はやめとく。さて、今回紹介する映画は語呂が似ている。
監督:ジョン・ブルーノ
1998

ターミネーター2やT2 3-D: Battle Across Timeでデザイン(スタン・ウィンストンの方が上)に参加したジョン・ブルーノはこれで監督をデビューし、ティペット御大が監修している。主演のカッコイイ女性は「ハロウィン」のトニー・リー・カーティスで、ユダヤ人二枚目俳優トニー・カーティスと絶叫クイーンのジャネット・リーの娘だ。電磁波生命体がロシアの宇宙ステーションから調査船の工作機械をハックしてノイマンマシン化、アルゴリズム進化するというお話(トランスフォーマーに似ているか)。嵐で通信に障害がでたため、世界中をハックできなくなる。最後はエイリアン・クイーンのようにスーパーロボットで襲ってくる。メッセージは陳腐だが、「お前らは菌(ヴァイラス)だ、平和の邪魔になるから我々の体の一部になれ」である。この言い草何に似てるでしょうか?どっちがウイルスなんだ。さて、次はディックに関連した映画である。
スクリーマーズ
監督:クリスチャン・デュゲイ
原作:フィリップ・K・ディック
主演はロボコップのピーター・ウェラー、原作はディックの「変種第二号」である。ディックは妻が左翼で社会主義者でも、どんな全体主義も同じだと一刀両断している。ロン・ポールみたいなリバタリアンになればよかったのだが、ユナボマー級のNGをしてしまった。ディックの作品はマルクス主義者たちに好まれた。それはディック自身の言葉で語れば「私は共産党員ではなかったが、しかし基本的には資本主義に対してネガティブなマルクス主義的な視点がある。」からだ。映画では原作の冷戦から企業と労働者の戦争という構造になっている。私が記憶を最後の私有財産と主張するのはディックの影響(トータルリコールとか)もある。誤解されているが彼はサイバーパンカーではない。 後、これもよく誤解されているが
、ロボコップはロボではなくてサイボーグであり、ターミネーターでカイルはT-800をサイボーグと言ってるが、厳密にはロボットである。キャメロンよ、勉強してこい!